投資信託とは、株式や債券等に投資して資金を運用することを第三者に委託する形式の金融商品です。投資信託に元本保証はありませんが、株式等に比較して元本割れのリスクは低く安定収益を目指す金融商品として、証券会社や銀行で広く販売されています。しかし、どのような投資対象にどの程度の割合で投資するかによって、元本割れリスクがほとんど無い投資信託から、非常にハイリスクの投資信託まで、実に多種多様であるということができます。
とくに最近、ノックイン投資信託という商品が広く販売されています。これは、具体的には、日経平均株価が一定水準以下に下がらない条件で、元本及び一定の利回りが保証されますが、一定の範囲を超えて(ノックイン価格)を下回ると、それ以後は日経平均株価に償還金額が連動し、元本割れが大きく生じることがあるという、デリバティブを組み込んだ複雑な仕組みのハイリスクな投資信託です。
投資信託は間接的に株式や債券、外貨等に投資している以上、株価変動リスクや債券の信用リスク、為替リスクが付きものですし、ノックイン投資信託はきわめてリスクの高い難解な商品です。
しかし、証券会社や銀行の担当者がこれら投資信託の内容やリスクをしっかり説明せずに販売し、顧客が予想外の多額の損害を被るという事案が最近多く発生しています。高齢者の方は銀行預金より利率がよく安全な商品というふうに投資信託を誤解していることも多々あります。証券会社や銀行はできるだけ投資信託を売りさばきたいわけですから、いかんせんリスクの説明が疎かになりがちなのです。
最近、とくにノックイン投資信託の訴訟が全国的に多く起こされており、裁判所が説明義務違反などを認めた顧客勝訴の判決も続出しています。大阪地裁平成22年8月26日判決や東京地裁平成23年2月28日判決などです。今後、ますますこうした流れは加速するものと思われます。
投資信託の商品の内容やリスクの説明が不十分だった、元本が目減りしてしまったことが納得いかないなど、少しでもおかしいと思われた方はぜひ一度弁護士にご相談ください。
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